涙話 -Beeindruckt sein-
第2章 見知らぬ女性
俺は小さい頃に親が離婚したため、
母というものを知らずに育っていった。
でも祖父母も父も俺にたくさんの愛情を持って育ててくれたし、
祖母は事あるたびに母の悪口を言っていたから、
母に会ってみたいなどといった気持ちは全くなく、
むしろなぜ離婚したのか…俺を残して、と
憎んでいたのかもしれない。
中学2年のときの夏の頃だったか、
部活が予定より早めに終わって帰宅すると、
家の前に見知らぬ女性がいた。
その人は俺ににっこりと笑いかけてきた。
「もしかして裕太くんでしょ??」
「…うん」
「そうだよね。
あのね、おばちゃんはあなたのお祖母ちゃんに用があったから来たんだけど…
留守だったから困ってたのよ。
待っている間にお腹がすいてきちゃったから
奢るから、一緒に近くのファミレスで食事でもしない??」
「え、うーん」
不審に思ったが自分も空腹だったため
付き合うことにした。
「いいよ」
「そう!よかったー、それじゃ行こうか」