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君がいたから-優輝ver.-

第3章 痛み

昨日は、あれからプリクラを撮って帰ることができた。
沙彩ちゃんの最寄り駅は俺よりひとつ前だったから、改札を出て、沙彩ちゃんのお母さんが来るまで一緒に待った。

あかねも俺と同じ最寄り駅だから、もちろん一緒。
沙彩ちゃんのお母さんには遅くまで連れまわしてすいませんと頭を下げた。
以後気をつけますというと、沙彩ちゃんのお母さんには逆にお礼を言われた。
どこに住んでいるのかと聞かれて、隣町に住んでいると伝えると、送っていってあげようかと聞かれたのだが、
沙彩ちゃんも疲れているだろうし、俺があかねを送っていくから大丈夫だといって断った。

「ねぇ、優輝ぃ。」

そして、今日。
問題の件が頭をよぎる。
そうだ、昨日のカラオケでのあのことだ。

「なんだよ」
「沙彩ちゃん、さっきから優輝のこと呼んでるんだから返事くらいしてあげてよー。」
「え!?あ、あぁ・・ごめんごめん。どうしたの?」
「ええっと・・これ、約束してた下敷き・・」
「あ、ありがとう!」

俺の下敷きは水色の無地にシュークリーム君。
あかねはオレンジ色の無地にシュークリーム君。
沙彩ちゃんのは薄ピンク色の無地にシュークリーム君。

三人とも色違いのおそろい。
しかも出来がよすぎる。
これは大事にせねば。

「これいいねー。ありがとう、大事に使うよ」
「私も私も!オレンジ大好きなんだあー!」
「喜んでもらえてよかったです・・っ」


ニッコリと笑う沙彩ちゃん。
癒しだな、これ。


『鈴木優輝ってやつはいるか?』


きた。
来ると思ってた。
わかってたことだから、ビクビクはしない。
でも、ここで殴られるのかな・・。
それならその方がいいんだけどな。


「います。俺はここです。」

逃げも隠れもしないさ。
さっさと殴ってさっさと停学にでもなりやがれ。

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