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君がいたから-優輝ver.-

第3章 痛み

先輩の目の前に立つと、先輩は俺に向かって
敵対心丸出しの口調で話しかけてきた。

『ちょっとついてこい』
「ここで用事は済まないんですか?」
『いいからついて来いっていってんだろ!!』
「ついていったら絶対リンチ受けるじゃないですか嫌ですよ」
『それだけのことを昨日したんだろうが。あぁ?』
「俺は正論を言っただけですよ。」

すると、気持ちの悪くなるような笑顔を俺に向けて、俺の耳元で脅し文句を囁いてきた。

『死にたくなかったらついてこい。』
「・・・わかりました。」

今、俺が死ねばこいつらは間違いなく刑務所に入るだろうが、死ななくとも集団リンチを受けるだろう。
いや、ついていっても受けるんだろうけど。


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ついていった先は、汚い部室。
スプレー缶などで書いたであろういたずら書き。
この画力を活かして別の方面で努力すればいいのに。
ある意味才能だよ、これは。

「なんですか。用事って。」
『殴られるってわかってんのか?』
「わかってますよ。どうぞ、好きなだけ殴ってくださいよ」
『面白くねえな。』
『リュウ、でもこいつ殴ったら傷跡とかでバレちまうよ』
『それもそうだな・・おい、バケツに水入れてもってこい!』

リュウ、と呼ばれたそいつが命じると、
命じられた周りの男がバケツに水をたんまり張って持ってきた。

『これでいい。』

リュウはニヤリと笑ってから俺の後頭部を汚い手で押さえつけてきた。
恐らく水攻めというやつだろう。
ああ、それにしても汚い手だな・・。
ばっちい・・。

逃げようとも足掻こうともしない俺を見て、
またニヤリと笑い、水に俺の顔を沈めた。

徐々に意識が薄れるのが分かる。
でも、少しすると引き上げられる。

苦しい、もうだめだ。
・・でも、ここで死んだらどうなる・・?
沙彩ちゃんは・・?あかねは・・?
だめだ、死んだらダメだ。

たったそれだけを頭に残して、意識を保ち続けた。

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