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君がいたから-優輝ver.-

第5章 気持ち

「あの・・。今日、保健室で話してたことあったじゃないですか。先生に何か言われそうになったのを優輝君が言わないように制した・・というか。
それに、先輩に向かって冷静にあそこまで立ち向かえるって・・普通じゃできないですよね?なんでですか?」


やっぱり、それ聞いちゃうよねー。
わかってたけどね・・。
まぁ、そこまで秘密にすることでもないんだけど・・。
絶対引くぞ・・。


「うーんとね・・」
「優輝、大丈夫?」
「ん、問題ないよ。沙彩ちゃんが言ってくれたんだから、言わなきゃね。」

そういうと、あかねは押し黙った。
やかましいだけのあかねが唇をかみ締めて俯いてしまった。
それだけ、あかねにとってはとても辛いことなのだから仕方ないだろう。

「俺の家は、母子家庭なんだ。」
「はい・・?」

急に家庭の話をしだしたせいなのか、沙彩ちゃんは語尾を上げて疑問形で返事をしてきた。
それもそうだろう、秘密を教えろといわれて、いきなり母子家庭です、なんてカミングアウトされても頭上にハテナだろう。いたって普通で自然な反応だと思う。
でも、秘密はそれじゃない。

「俺のね、父親。あいつは俺の妹に手を出してね。」
「え・・?」
「そのときに一緒にいたあかねまで被害にあったんだ」
「被害って・・」
「ただ、あかねは怖くなって逃げたから、そのまま助かったんだけど。」
「どういう・・ことですか・・?妹って・・え?」
「俺には、妹がいるんだ。年もあまり離れてない妹が。父親は再婚相手だったせいもあって、妹を子供ではなく、女としか見れなかったんだろうな。発育もいいほうだったから、仕方ない。仕方ないでは済まされないけど。」
「あかねちゃんは・・?」
「あかねは途中で逃げて、近くの公民館にいた俺のとこまで走ってきて、助けを求めたんだよね。」

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