テキストサイズ

人型ナビ

第3章 ドライブ①

そう、俺は一番最初に笑ってるときの理由を聞かれたのだ。
一番最初に会話を試みたときにまだ学習もあまりしていなかったので会話にならなかったのだ。
そのため、なんだか不思議に思えてしまってそれがどうにも面白く、楽しく思えたので笑ったのだ。
・・が、香枝にはその笑った理由が分からなかったようで、理由を聞かれたのだ。
以来、香枝は楽しい=笑うと認識したようで・・。
しかしまあ、なんというか・・。
ぎこちない笑い方だなぁ・・。
何度か笑い方を教えたんだけど、こればかりは流暢にならなかった。
笑いたりないのか、これが限界なのかはわからないけど、これはこれでよしとするか。

「香枝、綺麗になろう」
「綺麗、掃除、ですね?」
「言い方だなぁww んー、お風呂。拭いてあげる。」
「ありがとう、いつき。」

でもまぁ、最初よりは流暢にしゃべれるようになったか。
もっと、もっと人に近づいて欲しい。
人間と同じ容姿なのだから、中身もしゃべり方も全部人間になってほしい。

「さ、拭こう。おいで。」

手招きすると、香枝は洋服を脱いでこちらにやってくる。
変な気を起こしそうになるのを必死に堪えながら、体の隅々まで綺麗に拭いてやる。
さすがにお湯に入れたらまずいので、温かいタオルで優しく拭いてあげるのだ。
これもまた、俺の楽しみの一つだ。
週末の日課、そういってもいいだろう。

「なぁ、香枝?」
「なんですか、いつき?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ