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人型ナビ

第4章 ドライブ②

このあとも香枝の言うとおりに進んで、やっとの思いで目的地に着いた。

「蕎麦屋で蕎麦を食べよう」

まずは昼食だ。
昼食と言うにはもう遅い時間ではあるが。


「蕎麦、のお店はどこに、あります、か?」
「あれだよ」

指をさした方向には、小さなボロボロの掘っ立て小屋があった。

「やって、いるの、ですか?」
「うん、ほら、商い中って。」
「ほんとう、だ」

がらがらっと戸を開けると、中には食事を楽しんでいる客がいた。
どうみても二人。
だけど、連れているのはナビ。

『何名様で?』
「1名です」

ナビは数に入らない。
だからこれが普通。
だけど、なんだか寂しい気分。

「香枝、これから俺が食べるものは蕎麦っていうんだ」
「蕎麦。」
「そう。麺類の中で、日本らしいものの一つだよ。日本らしい麺類なら、他にはうどんもあるけど、うどんよりも細いんだ」
「細い」
「そう。味はね・・・」


味、みため、どんな風にできるのか。
細かく教えていく。
蕎麦がくると、こうやって食べるのだ、と見せてあげる。
食べさせてあげられないことが残念でならない。

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