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人型ナビ

第4章 ドライブ②

可愛いと感じてから思い出す。
そういえばこれは、2~3日前に覚えたものだ。

なんだかそれを思い出すとおかしくなってしまった。

「どうして、笑うの、ですか?」
「いや、香枝が可愛いから」
「可愛い、と、笑う、の、です、か? 100メートル、先を、右、です」
「そうだね。可愛いと、笑うな」
「そう、です、か。可愛い、と、笑う、の、です、ね」
「うん、そうそう」
「あ、は、は、は。30メートル、先を、右、です」
「今のは、なに?」
「笑い、まし、た」
「なんで笑ったの?」
「可愛い、から。次の、信号を、右、です」
「何が可愛かったのか?」
「カエ。そこを、右、です」


 俺は、ハンドルを右へ切った。
 
「香枝が可愛いのか」
「はい。カエは、可愛い、笑う、の、です」

 こんな会話が永遠に続くのだ。
 楽しくないはずがない。

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