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ただいま。

第1章 余命宣告

家に帰るまでの間、何を考えていたかはわからない。
だけど、これから先20日間、何をして過ごそうかということを悶々と考えていたのは間違いないと思う。
だって現に、食べたかったけど手が出なかったちょっと高めのケーキを片手に持ってるのだから。

「家に帰ったら新が帰ってくるまでに考えなくちゃね・・」


そうだ、考えなきゃいけない。
どうやって説明するのかを。
新は優しいがゆえに泣き虫だ。
きっとこんな話をきいたらすぐに泣いてしまうに違いない。

「あー・・。世界が曇ってる」

どんよりした気持ち。
私の気持ちとは裏腹に、天気は綺麗な晴れ空だ。

「皮肉ね」

ふっと笑って、家の前でドアを開ける。

「ドアってこんなに重たかったっけ。」

ドアさえも重たく感じる。
弱ったんだなぁ、本当に。

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