檻の中の女
第5章 友情
私の言葉を聞くと、
彼女は黙り込んでうつむいてしまった。
そして、
ぽつり、ぽつりと、
「…私の今までの人生も…
幸せいっぱいってわけじゃなかった…。
ううん、辛いことも、いっぱいあった…。
死んじゃいたいって思うことも…。」
そこで彼女は言葉を切って、
私をまっすぐに見つめ、
「でも…でもね、
こんなにどん底な時でも、
あなたみたいな人がいて、
ぎりぎりの所で考え直すことができる
私の人生も、
そう捨てたものじゃなさそうね…。」
そう言って、にっこりとほほ笑んだ。