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檻の中の女

第6章 信頼





「私のお父さんはね、
海外出張の多い仕事をしてて、
フランスに行ったときにお母さんと出会ったんだって。


お母さんは、
絵がすごく上手だったみたい。
でもすごく貧乏だったらしいわ。

その上身寄りがなくて天涯孤独で、
観光地とかで似顔絵かきとかして
なんとか食いつないでいたんだって。」




「詩織のお母さんだったら、
すっごくすっごく綺麗な人だろうな~。」







私がそう言うと、
詩織は恥ずかしそうに微笑みながら、





「えっへん!な~んてね!
でも、そう。すごく綺麗だったよ。
私なんかよりも、もっとずっと…。」





そう言ってさみしそうに微笑む詩織の肩を、私はそっと抱いた。




「…聞きたいな。詩織のお母さんやお父さんの話。」



「聞いてくれる?」


「もちろん!」


「じゃあ、話すね。
どんなおとぎ話よりも、
ロマンチックで大好きな、
私のお父さんとお母さんのお話し…。」








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