檻の中の女
第6章 信頼
「さっきも言ったように、
お母さんは観光地で似顔絵描いたり、
自分の書いた風景画とか売って生活してたみたい。
そこで通りかかったのが、
私のお父さん!
背が高くて、かっこよくて、
優しさと誠実さが溢れた目をしてて…
って、お母さんはお父さんをいつも褒めてたな~!
すごく仲良しの夫婦…ううん、家族だったの!
お父さんが、パリの街を歩いてるとね、
いきなりすごい風が吹いて、
そばに座っていたお母さんの絵が飛ばされちゃったみたい。
拾うのを手伝ってあげて、
お母さんに渡したとき、
お礼を言うお母さんを見て
その瞬間恋に落ちたって言ってた。
お母さんも、
お父さんを見た瞬間にこの人と生涯添い遂げるんだって確信したみたい。」