檻の中の女
第6章 信頼
「詩織、もういいよ…。
ごめん、もういいよ…。」
「お願い、聞いて。
重い話でごめん…。
でも桜には聞いてほしいの…。」
「聞くよ。詩織が聞いてほしいなら、いくらでも聞くよ。」
「ありがとう…桜……。
それでね…
お母さんが死んでから、
お父さんは本当に…
生きる力をなくしちゃったみたいに………
すごく落ち込んで……
犯人は捕まって逮捕されたけど
それでもお父さんは…。
たぶん、あの頃お父さんが、
自殺せずに生きてくれていたのは、
私のためだったんだと思う。
私はその時まだ小学校3年生で…
お父さんは必死に私を守ってくれた………。