テキストサイズ

ワールドアパート

第2章 僕への頼みごと

「速瀬玲於奈がなぜ亡くなったか知っているかね?」

どうしてそんなことを聞くのだろう
この話と関係がある…なぜ

「僕の記憶が正しかったら…確か自殺だった筈です」

先生は頷いた

「そう自殺だ。
彼は天才と言われた生物学者だった。彼は結婚していてね妻がいた。お腹には子供もいた。
知っているかね、妊娠中にプールなどで軽い運動をする女性も少なくないそうだよ」

「え…はぁ…らしいですね」
なんの関係があるんだよ…と顔に出ていた


「妊娠中は足が吊りやすいんだ。奥さんはプールで溺れて脳死状態になってしまった。
溺水は予後が悪くてね、そのままお腹の子と一緒に亡くなった。彼は奥さんを愛していたからね。すぐに彼も自殺してしまったのだよ」


なんて言っていいか分からなかった
天才とその家族の悲しい話
僕が言えることなど…何も…

「と…言うのは…
一般にしかも新聞にしか報じられなかった


真っ赤な嘘だ」


また冷や汗が出るのを感じた…
嘘…どこが嘘で……どこまでが嘘で…
全てが…嘘…


ストーリーメニュー

TOPTOPへ