ワールドアパート
第5章 天才と会話
少女はなんだか考えるような表情になり
眉を困らせたまま言った
「私は名前があまり好きではないんです!!
…変な名前だから…」
気にしているから
先生や奥様はあんな呼び方をしたのかな?
「…では名前では呼ばないよ
それでも教えるだけ教えてくれないかな?」
僕は懲りずに名前を聞いた
彼女はまた少し考えたが答えてくれた
「生きる、見る、とかいて生見(キミ)という名前です」
漢字は確かにユニークだが…
きみというのは珍しい名前なのか?
女の子の名前はイマイチ分からない
「でも僕はどうしたら良いかな?
名前で呼ばないにしても…
君と呼べばキミになるしイントネーションは違うけれど…
僕は
呼ぶなら同じキミでも
君より生見さんと呼びたいな」
率直に思ったことを言っただけだったが
目の前の彼女があまりにも目を輝かせるから
僕の方が恥ずかしくなってしまった