テキストサイズ

ワールドアパート

第6章 少女の話


「うーんと…私は多分今の技術じゃ測定出来ないくらいのIQらしいです
最初は研究室で…腕とか拘束されてたけど…
私が無抵抗だし、危険行為もないし

幸彦おじさんが責任とって…
だから今は幸彦おじさんの養子ってことになってます
戸籍上は坂口生見です…」

ツッコミたいところがたくさんあって…
何から聞いて良いかわからなかった

「えっと…まず良いかな?
生見さんは生まれて何年かは速瀬玲於奈さんと住んでたんだよね?」

「お父さんは2歳まで一緒でしたよ」


あ…父親だと認識しているし
父親の記憶があるんだ…

「でも、お父さんが亡くなってから
なぜすぐに先生の養子にならずに
…研究室で拘束されていたのかな?」

酷なことを聞いていると思った
でも少女は客観的に意見を述べるのみで
そこに感情がないことがよく伝わって来た


「私の存在がバレたのは幸彦おじさんが初めてだったんですけど…だから私は幸彦おじさんの家にいたけど…幸彦おじさんの部下の研究員の人が…私を誘拐して、売り…」


「この話はやめようか」
話を遮った

「え…はい…?」


悲しい顔一つせず話す少女を

僕は見ていることができなかったからだ

自分が持ち出した話題のくせに

ストーリーメニュー

TOPTOPへ