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フーセンガム

第26章 始業式

(櫻井side)

始業式も終わり、和也といつもの公園のベンチに腰をかける。

ニ「翔?」
「なに?」
ニ「どうしたの?」
「なにが?」
ニ「なんか…難しい顔してる」

和也が、不安そうに聞いてくる。

「…。」
ニ「なに?なんか…話とか…ある?」

また、不安そうな顔をした。

「あのね…」
ニ「…なに?」

和也の顔が強張る。

「勉強に、集中したい」
ニ「…うん」

和也の顔が柔らかくなる。
予想とは違うリアクションに、ビックリした。

ニ「そっか、そうだよね。受験生だもんね。」

にこにこする和也。
無理に笑ってる感じがして、悲しかった。

「ごめん…」
ニ「そんな悲しい顔しないで?俺は翔を応援するから」

頭を撫でられる。

「ありがとう。和也」
ニ「ううん、翔のこと待ってる」
「帰りは一緒になれるようにするから」
ニ「いいよ?無理しないで」

無理してるのは、和也でしょ。

「…うん」
ニ「大好き…。もう少し、翔に触れてたい」
「俺も…」

このまま、時間が止まればいいのに。

このまま、二人でいれたらいいのに。

このまま…幸せな時間が続いたらいいのに…。

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