テキストサイズ

フーセンガム

第29章 渇き

(櫻井side)

醜い嫉妬心が招いた結果だ。

自分が悪いのに、潤に八つ当たりをしてしまった。

ニ「もう…翔とはいられない」

和也の目からぼろぼろ涙が流れる。

ニ「もう…嫌いなんだ」

足が震えている。

ニ「一緒にいるのが、怖いんだ…」

最後の方は、聞き取れないほど和也は取り乱していた。

「…。」
ニ「うっ…うっ…ふぇぇん…」

こんな和也、見たことない。
ここまで、和也を追い込んだのは俺だ。

泣かせたのは、俺だ。

俺が…和也を傷つけたんだ。

「もう、終わりにしよう。」

和也をこれ以上、傷つけたくない。

ニ「うっ…うっ…」

和也は、泣いたまま頷いた。

俺も、涙を流した。

そして、そのまま家に向かい歩きだした。

俺の幸せは、足早に去っていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ