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フーセンガム

第29章 渇き

(二宮side)

潤くんに無理を言って、カラオケに来た。

松「なんでカラオケ?」
「思いっきり歌いたくて…一人じゃ寂しいでしょ?」

なんてのは、嘘。
道端で、翔を見かけたから。

ここまでは、追って来ないって思ったんだ。

櫻「和也!」

個室のドアを思いっきり開けたのは、翔だった。

松「…翔」
「……何しに来たんだよ」
櫻「ちゃんと、説明しに来た」
「説明なんて…聞きたくない。帰って」
櫻「嫌だ」
「俺は…信じてたのに…」

潤くんの背中にまわり、翔を視線から遮断する。

松「和…」
「嫌だ!翔なんて…もう嫌い。大嫌い!帰ってよ!」

思いっきり叫んだ。
…正しくは泣き叫んだ。

櫻「和也…」
松「翔、今日は帰ってくれ。和もまだ準備が…」

潤くんの体が俺から離れたと思うと、翔が潤くんの胸ぐらをつかんでいた。

「しょ、翔…」
櫻「お前が、和也をたぶらかしたのか」
「…!」

見たこともない血相で、聞いたこともない低い声で言った。

櫻「どうなんだ!」
「違うから!潤くんは、そんなことしてない!俺から近づいたんだ。」

翔は、呟く。

櫻「なんで」

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