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フーセンガム

第30章 隣

(二宮side)

『翔と、別れた。』

この言葉が、頭のなかを駆け回っていた。

「もう…」

なんで、頷いてしまったんだろう。

学校に行くのが嫌だ。
翔と会うのが、嫌だ。

なにより、雅紀に会うのが嫌だ。

「バカだ…」

窓ガラスから、光が注がれる。

「全部…夢ならいいのに…」

明るいはずの朝日が、濁って見えた。

俺は、学校に行くために制服に着替える。

「行って…きます…」

今日ほど、学校に行きたくないと思った日はない。

玄関を開ける。

「…っ!」
櫻「…おはよ」

制服ではなく、ジャージを着た翔がいた。

「…なにし」

『何しに来たんだよ』

言葉が遮られる。

翔に唇を塞がれていた。

「んっ…ふぅ…」

翔の舌が、俺の口内をむさぶる。

俺は、翔の背中に手を回していた。

もっと、もっと。

翔と、触れあっていたい。

櫻「っは……ごめん」

翔は、そう言って去っていった。

なんで謝るの?
翔は、いいの?

俺は、嫌だよ。
本当は、まだ好きだから。

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