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フーセンガム

第2章 基礎

(二宮side)

大「え?翔ちゃんなの?」
「ち、ちがっ…」

もう、こんな否定も通じなかった。

大「翔ちゃんなの?」
「いや、その…」
大「翔ちゃんでしょ!」

完全に図星だった。

もう、隠せなかった。

「そ、そうです」

ついに認めてしまった。

大「やっぱり!」

嬉しそうに、ニコニコする大野先輩。

「もぅ…言わないで下さいよ」
大「当たり前でしょ~、僕口固いもん」

ふわふわした笑顔で言う。
…言いそう。

「でも…おかしいですよね。会ったその日に好きになって…。こんなこと、今までなかったのに…。」

なぜか心中まで話していた。

大「和也くんもバカだねぇ」
「え?」

バカ?

大「恋愛って、自分が自分じゃなくなっちゃうんだよ。だから初めてだらけなの」

初めてだらけ…。

大「これ、恋愛の基礎ね?」
「基礎…」
大「じゃ、バイバイ」
「あっ、さようなら」

大野先輩は、右の角を曲がって行った。

「基礎か…」

パッと櫻井先輩の顔が浮かぶ。

「っ!」

突然、つまづく。

「イッテ…」

久しぶりに転んだ。
人の顔を思い浮かべただけで転ぶとか…。
自分じゃないみたい…。

あっ、これ、恋愛の基礎だ。

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