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フーセンガム

第35章 輝き

(二宮side)

二人は、笑っていた。

櫻「父さんのとこに行こう」
奏「ええ。」

二人についていく。
二人に会話はなく、でもさっきまでとは違う空気だった。

翔は、お父さんの眠っているベットに腰をかける。

櫻「…ありがとう、父さん。」

一筋の涙がこぼれた。

「…。」

俺は、またなにもできずに立ち尽くしていた。

櫻「18歳の社長…やってみるよ。」

翔は、決意したみたい。

櫻「父さんが大事にしてきた会社。守ってみせる」

『がんばれ』

どこからか、聞こえた気がした。

櫻「母さん」
奏「もう、準備は始まってるわ」

準備とは、お葬式のことだろう。

櫻「和也」
「なに?」
櫻「おいで」

翔の上に座る。

櫻「愛してる」

後ろから抱き締められる。

「うん…俺もだよ」

俺の腹の前で組まれる手を握る。

櫻「社長なったら…会えないかも」
「うん…」
奏「え?一緒に住むんじゃないの?」

その言葉のあとに「もう準備始めてるわよ」と付け足した。

櫻「じゃ、マンションがいい」
奏「高いところ?」
櫻「ううん。安いところ」

翔と目が合って、翔は耳元で囁いた。

櫻「広いと、寂しいでしょ?」

その言葉に頷いた。

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