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フーセンガム

第35章 輝き

(櫻井side)

勤「んっ!んんっ」

喉をならし、少し強張った表情をした父さんがいた。

ニ「お父さん」
勤「もう、回すのか?」
ニ「いえ、回ってます」
勤「え!?言ってよ~」
ニ「言ったのに、聞いてませんでした?」

二人の楽しそうな会話が聞こえる。

ニ「えっと、残りは…15分ぐらいなんで」
勤「おう。じゃ…話すか」
ニ「はい。どうぞ」

どうしても、姿勢を正してしまう。

勤「俺…死んだんだな。」
ニ「はい。」
勤「二宮くん、静かにしてて!」
ニ「すいません。」
勤「まず、奏。ありがとう。俺がこの歳まで生きれたのは奏のお陰だ。ありがとう。そして、心から愛してる」

隣に座っている母さんをみる。

奏「お父さん…」

初めて見た、母さんの涙だった。

勤「翔、お前には会社を継いでもらわないといけない。大学には行くな」
「はぁ!?」
勤「いいか?社長になるんだぞ?ソイツが学校にいていい気すりヤツなんていないだろ。とにかく、大学には行かないで高校卒業してすぐに社長だからな」

なんて勝手なんだ…。

勤「ふぅ…もう止めたか?」
ニ「止めました。」

ビデオをまだ回っていた。

勤「翔は…大丈夫か?」
ニ「大丈夫です。頼りになりますし、頭もいいです。」
勤「18歳で、社長はさすがに酷だったか…。取り直しはなし?」
ニ「なしです」
勤「なんで?俺、死んでんだよ?」
ニ「大丈夫。まだ、カメラ回ってるから」
勤「え!?」
ニ「じゃ、最後に一言!」
勤「え?あ、う~ん…。がんばれ!」

そこで、ビデオは終わった。

俺と、母さんは笑いながら泣いていた。

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