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フーセンガム

第43章 恋の病

(櫻井side)

『今日は…帰らないから』

和也は、そう言い残して去って行った。

それでも、信じたかった。

『ボールペン…忘れちゃった』

なんて言って、笑顔で帰ってくるって。

そんな想いとは、裏腹に和也は本当に帰って来なかった。

もしかしたらって雅紀に電話をかける。

相『も』
「和也、そっち行ってない!?」

繋がった瞬間に叫んだ。

相『来てないけど…なにか…』
「いや、いい。なんでもない。」
相『嘘だ!ねぇ、智』

え?智、いるの?

大『うん。なんかあった?』

心配そうな声が聞こえる。

なんか懐かしくて、泣きそうになる。

「いや…本当に…」

言いかける。

ん?

前に、ケンカしたとき…。

松『…翔』

「あ!」
大『うわっ』
「ごめん!後で!」

ブチッと、電話を切った。

そして、すぐにかけ直す。

松『も』
「和也は!?」

繋がった瞬間に叫んだ。

松『もう、帰ったよ』
「え?」
松『だから、さっき帰りました。』
「さっきまで、いたの?」
松『うん。』
「…はぁああ!?」

嫉妬で、狂っちゃいそう…。

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