テキストサイズ

フーセンガム

第44章 言葉

(二宮side)

「あ、なに食べる?なんにも、用意してないからさ…」

翔にプロポーズをされて、しばらくたったころ。
翔が、抱きついたまま離れてくれなかった。

櫻「いーよ。和也のこと食べるんだからさ♪」
「そういうわけにも、いかないの。肉じゃが作ってあげるから」
櫻「車まわす?」
「うん」

翔は、肉じゃがが大好き。

櫻「なに買ってくればいい?」
「うーんと…」

冷蔵庫を開ける。

ヒンヤリとした、冷たい風があたって心地いい。

「じゃがいもくらいかな…」

冷蔵庫には、たくさんの食材が詰まっていた。

櫻「じゃがいもね。一緒に行く?」

コンコンと、かかとを揃える音が玄関から聞こえてくる。

「行くけどさ…」
櫻「なに?」
「着替えれば?」

翔は、まだスーツ姿だった。

櫻「えー、めんどくさ」
「だって、ダサいもん」
櫻「スーツが!?」
「違うよ。スーツに運動靴が」
櫻「はぁ~、めんどくさ」

靴を放り投げて、部屋に入って行く。

「あ、服選んであげようか?」
櫻「いいの?和也、優し~」

無邪気に笑う翔。

あ~、ダサそうで心配だから服を選んであげるなんて…

絶対に言えない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ