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フーセンガム

第54章 危険な再会

(櫻井side)

朝、起きると和也の姿がなかった。

「あれ?…リビングかな」

重い体を起こして、階段を降りる。

大「おはよう」
相「おはよ」

二人は、肩を寄せあってジュースを飲んでいた。

「あれ?…和也は?」
大「あれ?いないの?」
「うん」
相「そういえばみかけないね」

そう話す俺らの間には、緩やかな時間が流れていた。

大「どこ行ったのかな…」
相「ん~、海とか?」

智と、雅紀の言葉を聞いて着替える為に部屋に戻る。

「和也…どこ行ったのかな…」

呟きながら、着替えをする。
そして、玄関に向かい靴を履く。

「ちょっと、海行ってくる」

二人に「いってらしゃい」と送り出された。

外にでると爽やかな風が俺に吹きかけた。

「涼しい……」

風になびく髪を手で避けながら、
和也を探す。

「いないな…」

家の周りには、いなかった。

あとは、プライベートビーチだけ。

?「櫻井くん?」

後ろから、柔らかな声が聞こえる。

「え?」

振り返ると、黒髪を風になびかせる懐かしい顔の女性が立っていた。

?「やっぱり!櫻井くんだった」

手を叩いて、笑顔で言った。

「華架ちゃん…」

幼い頃の面影が残った彼女をみると、
昔に引き戻されたような気分になった。

華「櫻井くん、旅行?」
「えっ?う~んと…」
ニ「翔!」

白い砂浜に立つ、愛しの恋人。

「あっ、和也!」

満面の笑みを浮かべて手を振る和也に俺も、精一杯の笑顔を見せて手を振り返した。

華「友達?」



……『友達』




その言葉が胸を刺した。

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