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フーセンガム

第59章 時の画鋲

(二宮side)

そんなことがあったなんて…。

櫻「冬斗は…実は生きてるんだ」
「は?」

間抜けな声が出た。

「だって、病気だし…もう」
櫻「治療薬ができて、今は、海外にいると思う」
「どうして智くんに言わないの?」

会わせてあげればいいのに…。

櫻「言えないっ…」

翔は、顔を覆った。

櫻「現実と向き合ってる智に、本当の現実を突きつけるわけにはいかない。智が苦しんでるの、俺が一番わかってるから…」

翔は泣いてた。

「ごめん…」

翔を抱き締めると、ドアがゆっくりと開いた。

相「まだ、生きてるの?」

雅紀が立っていた。

櫻「雅紀……」
相「本当に…生きてるの?」
櫻「…あぁ」
「まさっ」
相「わかった」

雅紀は、ドアをわざとらしく音をたてて閉めた。

「智くんに…言わないかな…」

不安がよぎった。

櫻「大丈夫だよ。雅紀は智を誰よりも愛してるから」
「そうだね…。翔」
櫻「なに?」
「智くんの側でよく頑張ったね」

頭を撫でると、翔は笑いながら泣いた。

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