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フーセンガム

第59章 時の画鋲

(相葉side)

全部知ってるつもりでいたんだ。

哀川冬斗。
智の初めての相手。

「冬斗は、僕の為に死んだんだ…」
泣きながら教えてくれたのを覚えてる。

大「まーくん、なにが釣れるかな♪」

魚の専門雑誌を読みながら笑顔で言う。

「智」
大「ん?なに?」

可愛い笑顔で俺を見つめた。

「好きだよ」
大「んふふ、僕も♪」

智が、本当の笑顔を見してくれているのか不安になる。

大「まーくん?」
「っ…ごめん…」

さっき、櫻井先輩が言ってた。

『実は生きてるんだ』

哀川冬斗が生きている。

会いに行きたい。
話がしたい。

大「まーくん…どうしたの?」
「智…好きだよ」
大「うん。僕も好きだよ。だから泣かないでよ…僕も悲しくなる…」

背後から抱きつかれる。

「ぅくっ…」

涙が止まらなかった。

大「まーくん…好きだよ。大好き」

背後から、智の嗚咽が聞こえてきた。

「ごめん…智…」

智を泣かせてしまった。

俺は、正面から智をしっかりと
抱き締めたのだった。

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