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フーセンガム

第66章 儚い夢

(大野side)

「みんな…なんで黙ってたんだよ…」

怒りを抑える僕に、冬斗は言う。

哀「みんな、智が心配だったんだよ」

後ろから、ゆっくりと優しく抱き締められる。

「僕が?僕は大丈夫なのに」

みんなして、心配しすぎなんだよ。

哀「智は、強くなったね」
「え?」
哀「俺の知らない智だ。」

嬉しそうに、声を弾ませる。

「えっ、そんなことないよ!」

後ろをみて、冬斗と目を合わせる。

哀「相葉、好き?」

唐突に聞かれる。

「へ?」
哀「好き?」
「まーくんのこと…愛してるよ…」

体が、全てが熱を纏う。

哀「そっか…」

今度は、悲しそうに肩を下ろす。

「冬斗は……好きな人いないの?」

……な、なに聞いてんだろ…。

哀「いるよ。ずっと、好きな人」
「そっか。応援してるからね」
哀「俺が、好きなのは智だよ」
「……へ?」
哀「ずっと智を想ってたよ」

冬斗が…ずっと?

涙が、頬を伝った。

哀「泣かないで」

涙を拭われる。

「ごめん、ごめん冬斗…」
哀「謝んな」
「僕…もう冬斗を好きになれない」

会ったら、冬斗の胸に飛び込む。
そう思っていた。

なのに、現実は全然違う。

「まーくんしか…愛せない」

今は、まーくんの体温がいとおしくてうずうずしてる。

哀「智。」

冬斗が、真っ直ぐに僕をみる。

哀「いいから、今だけでいいから…」

冬斗が、うつむいた。
しばらくすると、顔をあげて微笑みながら、鼻をすすりながら

哀「俺の恋人になって」

って、一言いったんだ。

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