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フーセンガム

第70章 色褪せる愛

(二宮side)

夢を見た。

翔が、俺を抱き上げてベットにゆっくりおろして俺を額にキスを落とす。

そのくすぐったい愛に、ついつい頬が緩んだ。

翔は、なぜか泣きながら俺に言うんだ。

『愛してる、誰よりも…。俺には、和也しか愛せないから…』

その言葉を聞いた俺も泣いていたんだ。

なんで?

「翔っ!」

何かを掴もうとして、勢いよく起き上がった。

「……なんで、ベット?」

昨日は、トイレに籠ってたはずなのに。

隣をみると、翔の姿がある。

「……俺、酷いことばっかり言った」

ワガママばっかり言って、
思い込みだけで言って、
……翔を傷つけた。

それなのに、ここまで運んでくれた。
あれは、夢じゃなかったんだ。

こんなに、俺を大事にしてくれてる人が浮気なんてするはずない。

「ごめんね…翔…」

まだ、寝ている翔に強く抱きついた。

「誰よりも愛してる」

そう伝えると、翔の体が動いた。

櫻「和也……おはよう」

なんで、変わらずに挨拶してくれるの?

怒ってないの?

「おはよう…」
櫻「良かった、挨拶してくれた…」

ぎゅっと抱きしめてくれた。

「え?」
櫻「昨日、挨拶してくれなかったから」
「あ…ごめん…」
櫻「いいよ。それより大丈夫?」
「うん、ごめん…」
櫻「いいよ。」
「ベットまで、ありがとう…」
櫻「ううん」
「それと……」

翔から体を離して、しっかりと目を合わせた。

「愛してるよ…誰よりも…」
櫻「うん」

翔は、笑うと俺を抱き締めた。

そのあと、翔は優しく、呟くように言った。

櫻「昨日のこと、言いたくなかったら言わなくていいからね」

俺は、頷く。
翔の優しさに甘えることにした。

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