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フーセンガム

第71章 優しさ

(二宮side)

思ったことを言えるのは、雅紀しかいないから…。

「ふぇっ、ふぇぇ…」

雅紀に頭を撫でられて、
「大丈夫」
って何度も言われながら慰めてくれた。

相「櫻井先輩は、にののこと大切に思ってくれてるから…大丈夫」
「でもっ、駄目なんじゃないかって…」

雅紀にしか、俺には痛みはわからないって自惚れてもいい?

相「一日ぐらい、櫻井先輩のこと忘れてみたら?」
「えっ?」
相「泊まりにおいで。智もいるけど」

苦笑いをする雅紀が、俺には輝いて見えるよ。

「いいの?」
相「もちろん!智にも、話聞いてもらったら?荷が楽になるよ♪」

いつから、雅紀は大人になったんだろ。

前は、立場が逆だったのに…。

雅紀に、守るものができたからかな?
智くんのこと…大切なんだな…。

だとしたら、俺は翔に甘えきっているのかもしれない。

相「櫻井先輩には、俺から連絡入れとこうか?」
「ううん、自分で言うから」

それぐらいは、しっかり言っときたい。

変な疑い、かけられたくないし…。

携帯の向こうで、呼び出し音が流れる。

櫻『どうした?』
「今日、まさ…」

話そうとすると、携帯の向こうから女性の声がした。

櫻『いま、電話してるから!』

声を潜める翔。
なんで?

「雅紀ん家、泊まるから…」
櫻『え!和也、家いないの?』
「…うん」
櫻『明日は、休みだから早く帰ってきてね。久々に、買い物行こう?』
「…うん」
櫻『じゃ!』

…誰だよ。
あの女、誰だよ。

相「…にの?」
「駄目だ……うん、駄目だよ…」
相「に、にの?にの!」

目の前が、真っ暗になった。

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