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フーセンガム

第74章 貴方の場所

(二宮side)

長岡さんに、久々に会って話が弾んだ。

「へー、長岡さんってそんなに凄かったんですね」
長「ははっ…。それより、直接渡さなくていいんですか?」
「渡せないから、長岡さんに頼んでるんです」

翔とは、会えない。

長「…でも」
「もし、翔が受け取らなかったら捨ててください。」
長「社長は…」
「結婚してるんでしょ?」

長岡さんは、顔を曇らせた。

「知ってますから。翔に迷惑かけるわけにいきませんから」

伝票を持って、会計に向かう。

長「もし、社長から電話がきたら出てあげてくださいね!」

背中を向けたまま、長岡さんに手を振った。

店から、出ると独り言がこぼれ落ちた。

「……案外、辛いな」

翔が、結婚したって聞いてショックだったよ。

翔は俺と離れて別の女と結婚したんだ。

俺が、離れて正解だったと思う。

だって、世間には認められない愛のカタチよりも
認められてる愛のカタチがいいもんね。

所詮、俺は、

ただのブームだったんだ。

あの、海で会った山中華架が言うようにね。

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