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フーセンガム

第74章 貴方の場所

(櫻井side)

長岡から、手紙を渡された。

白い封筒に綺麗な刺繍が施されている。

「誰から?」
長「懐かしい方からです」

『懐かしい方から』?

「まぁ、いいや。エリカに今日は遅くなるって連絡いれといて」
長「わかりました。」

俺は、約半年前に結婚した。

エリカとは、あの水澤だ。

契約結婚とかじゃなくて、向こうが無理矢理、結婚を申し込んできた。

アイツが、いなくなった俺には何も残ってなくて…。

そんな俺を見かねて、言った。

水『二宮くんのこと、一緒に待つ。だから、一緒にいよ』

俺は、その言葉を信じた。

けど、エリカはマジで俺に惚れてた。

そんなエリカの思いに比例するように俺も、エリカを好きになった。

「ふぅ…」

イスに座り、封筒の封を開く。

「…か、和也!?」

ついつい、大声をあげて立ち上がる。

「…はぁ」

自分を落ち着かせて手紙に目を通す。

『雅紀と同じ大学に通ってます。』

雅紀、そんなこと言ってなかった。

『翔の人生の汚点で、ごめん。』

汚点?
なに言ってんだよ。

『会うこともないしね。』

和也は、もう吹っ切れたわけ?

俺を…思ってないの?

『突然、手紙出してごめんなさい。』

なんで、謝るんだよ。

嬉しいよ。

いま、どこにいるんだよ。

携帯を取りだし、まだ残っている
『二宮和也』
に、電話をかけた。

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