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フーセンガム

第76章 手を叩け

(櫻井side)

ニ「今だけでいい…愛して…」

泣きながら、俺に抱きついた。

ニ「俺だって…会いたかったよ」

泣く和也は、昔の和也とリンクした。

可愛くて、少し切な気で…。

「和也…」

和也と体を密着させる。

ニ「奥さんに申し訳ないね…」

ズズッと鼻をすすりながら、無理して笑っていた。

「無理するな」

涙を拭ってやると、背伸びをして俺の頬にキスをした。

ニ「好き…好きだよ」

何度も呟いて、何度もキスをした。

俺は、こんなにいとおしい人を、手放してしまったのか。
なぜ、あのとき追いかけなかったのか。

後悔した。

ニ「翔は…ほんとにまだ好きでいてくれてるの?」

涙が溜まっている目は、俺が好きだって訴えてる。

「あぁ。ずっと、好きだ」
ニ「ほんと?嬉しい」

ぎゅ~っと俺に抱きついた。

「和也」
ニ「なぁに?」
「やり直したい」
ニ「ダメだよ、奥さんいるでしょ?」
「嫁は…水澤だよ」

和也の体が強張るのが、わかった。

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