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フーセンガム

第13章 デート

(櫻井side)

順風満帆な日々を送っていた。

「……わ、別れよう」

まだ気づいてなかった…、なんてのは言い訳で、本当はあの日から分かっていたんだ。

二「…え?」
「…ごめん」
二「どういう、こと?」

かずは、目に涙を浮かべていた。

「ごめん…」
二「ごめんじゃ…分かんないよ」

繋いだ手を強く握られる。

そんなかずを愛おしく思う。
離したくない。

「言ってる俺の気持ちも…考えてくれよ…」

俺の目からも涙が流れた。

二「じゃ…言われてる俺の気持ちも…考えてよ」

パンッと叩かれた手を見つめる。

二「何で…嫌いになった?もう…顔も見たくない?」

ボロボロと大粒の涙が流れる。

「ちがっ」
二「なにが違うの!?」
「…。」

違いなんて言えるはずもなかった、というより言えなかった。

二「…もういいよ。」

怒りがこもったかずの声を黙って聞いていた。

二「でも…今日まで…今日まででいいから…恋人で居て?」

かずがぎゅっと両手で俺の手を包みこんだ。

その温もりに、さらに大粒の涙が流れた。

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