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フーセンガム

第13章 デート

(二宮side)

考えるのはやめよう。

「翔さん、ゲームしよ」
櫻「…嫌だよ。負けるもん」

少し腫れた目。
さっきまで泣いてたから…。

「翔さんが、勝てるやつにしよ?」
櫻「かずに勝てるゲームなんてないよ?」
「あっ、そっか」

理由なんて怖くて聞けない。
だから、いつもみたいに……。

櫻「…かず」
「あはは……何でだろ…」

泣いてた。
『泣くな!』自分に言い聞かせる。

「あっ!クレープ食べる?」

空元気でいいから、俺に笑顔でいさせてくれ。
最後のデートは笑顔でいさせて…。

櫻「かず、無理しなくて…いいんだよ?」
「え?」
櫻「悲しい時は、泣いていいよ?」
「…なにそれ。」

もう悲しいのか怒ってるのかわかんない。
変な感情が俺を渦巻いた。

「悲しくさせたの…翔さんじゃん」
櫻「…うん」
「俺だけが…本気だったんだね。」
櫻「かず…」
「俺だけが…翔さんを…愛して…」

もう喋れなかった。
翔さんの顔も見れなかった。

「もう…大っ嫌い…」

涙で視界が歪むなか俺は翔さんに背を向けて家に向かって歩いた。

最後ぐらい…笑顔で居たかった…。

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