テキストサイズ

フーセンガム

第14章 影

(櫻井side)

「ただいま…」
松「お帰り。翔」

これが真実。

「ちゃんと…別れてきたよ」
松「うん、知ってる。相手の子泣いてたね?そんなに翔が好きなら泣きついて、すがって離さなきゃいいのに」
「かずは…そんなことしない」
松「ふーん。でも翔は一生俺のもんだ」

黒い笑みを浮かべる。

嫌いだよ。そんなおまえが大嫌いだよ。

「風呂、入る。」
松「いってらっしゃーい」

あの日、潤に告白された日。

こんなことになるってわかってた。
わかってたのにこうなった。

大好きなかずと別れて、潤と付き合う。
最悪のシナリオだ。

「……かず、愛してる。誰よりも…」

ここで言ったって届かない。
わかってるよ、わかってるけど…何よりも早く、どんな言葉よりも早くかずに伝えたい言葉だった。

ー1週間前

松「翔の恋人、寝とるよ?」
「えっ?」
松「俺として、おちないやつなんていないし。それは翔もわかってるだろ?」

脅された。

かずが、潤と寝るくらいなら…条件の『恋人と別れて、俺と付き合うこと』を受け止めるしかなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ