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フーセンガム

第14章 影

(松本side)

やっていい事と悪い事ぐらい俺にだって分かってる。

だけど、そんなのも制御できないぐらい翔が好きなんだ。

翔にも…伝わってるはず。

櫻「…で?」

後ろを振り返ると、腕を組んだ翔が立っていた。

櫻「かずを脅しにして、俺をどうしたいわけ?」

完全に怒っていた。

「どうもしないよ。ずっと俺の…」
櫻「嫌だかんな」
「え?」
櫻「好きでもないやつと一緒なんて俺は、まっぴらごめんだからな」
「俺は…翔が好きだよ?」
櫻「俺は大っ嫌いだから」

眉間にしわを寄せて、タオルを床に叩きつける。

「どう…して?」
櫻「こんなのはただの束縛。俺を縛ってるだけ。」

冷たい表情を浮かべて、冷たく言い放つ。
俺の好きな翔は、どこにも居なかった。

「もう…わかんないよ…」

俺はその場にしゃがみこんで頭を抱えた。

櫻「いいか?恋なんて一瞬なんだ。直感で好きって思ったんならそのまま突き進め。こんな姑息な方法じゃなくてな?」

優しく微笑む。

櫻「じゃ、また」

翔は去って行った。

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