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フーセンガム

第15章 水

(二宮side)

どうしてこんなことになってしまったのだろう…。

カーテンを締め切って、暗い黒い部屋で考える。

ブーッブーッ。
鈍い音が側で響く。
画面から明るい光が、瞬く。

『大野智』

「智…くん?」

パッと反射的に携帯の受話ボタンを押してしまった。
誰かに、すがりたかったのかもしれない。

「…もし」
大「和也くん!なんで学校来ないの!?」
「まだもし、しか言ってないんですけど」
大「あ、ごめん。」
「で?何ですか?」
大「翔ちゃんも休んで…」

ブチッ。

『翔ちゃん』
名前も聞きたくないよ。

だって…まだ愛してるから。
想ってるから…あんな別れ方には納得がいかない。

「やだよ…側にいさせてよ…」

こんなに涙脆くなったのは翔さんのせいなんだよ。
俺をこんなに弱くしたのは翔さんだよ。

「責任ぐらい…とってよ…」

抱かれて、愛を確かめあって。

それは翔さんだからいいと思ったんだよ。

「…………ふぇぇん」

その日は、目が腫れるぐらい泣いた。

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