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秘密の時間は私のもの

第16章 覗き見る者

振り向き際に文句の1つでも、と思ったのだが


それもまた滝波の手によって口を塞がれ、言えなくなった。



「空気読んで静かにもできないんですか」



この無能め



言葉に出ずとも分かるその言葉に早速腹立つ俺。


挑発だろうがなんだろうが、これで怒らない奴がいるのか。


いや、いない!


断定し、滝波の手を引き剥がし次こそはと声を出そうとするのだが


今度は滝波の鋭過ぎる眼光が刺さり情けなくも言葉に詰まった。



「て、てめ」

「話すなら小声で話して下さい」



人差し指を自分の口元へと持っていき、しーと合図する滝波。


そこまでして静寂を保ち、中に入ろうとしないとなると


嫌でも中が気になるわけで。


覗けばいいのだろうけど、また首を締められてはたまったものではない。


と、なると知る方法はもう1つしか無いわけで。


チラリと視線をその方法を実行するのに必要な人物に送るも


その人物はもう俺の方を向いていなくて。

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