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秘密の時間は私のもの

第25章 見せてもらった5

その隙を神月は見逃さず、あっという間に玄関に入り込んだ。

にっこり笑う神月を見て


ーーさっきの声はまさか....


など、堤は思ったが

わざとしてまで堤の家に神月が入りたい理由も見付からない。

そもそも神月は変態だと改め、考えるのを放棄した。


「.....で?何の用....」

「何の用って....失礼だなぁ。お見舞い」


がさりと神月が掲げる袋にはりんご、蜂蜜などが透けて見えた。


ーー....この変態が見舞い?普通に?いや...ないよなぁ...


堤は警戒心を解かずに、素朴な疑問を投げかける。


「学校は?学年トップさん」

「もー、嫌味な言い方だなぁ
まあ、その名を借りてちょっとね♪」

「.....それはわざわざどうも。ってことでさよう」

「ダーメ!今日は看病しに来たんだから」


“看病”、その2文字にきゅんとトキめく堤。

“好きな人”に“看病”なぞ、誰もが1度は夢見るシチュエーション。

堤の心がグラグラ揺れ出す。

だが、しかし、と欲求をグッと抑え堤は神月の体を後ろに押した。


「帰れ」

「ダメだって。うちに誰もいなさそうだし、そんなフラフラじゃ」

「かーえーれ....」

「だから!」

「帰れって!!」


喉ももちろん痛いのに大声を出す堤。

反動で咳込む。

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