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秘密の時間は私のもの

第25章 見せてもらった5

頑固として開かれなかった口も徐々に開き始める。


「.............ろ.......に」

「え?」

「っ.....だか、ら....うつす....だろ。お前に....」


ぽかーんと口を開ける神月に、顔を隠す堤。


ーーだから嫌だったんだ...

大体は神月のせいだが、神月にひどく当たってた俺が

こんなん心配とかぜってぇ気持ちわりぃし


それに、きっと普段の堤では思わぬこと。

この言葉が、この考えが出てきたのは

堤に神月が好きという気持ちがあるからだ。


「分かった、ろ。だから、早くかえ」

「うん」


あれだけ渋っていた神月の即答。

堤の心をチクリと針が刺す。


ーーバカ言え。あの言葉は本心だろ。こうなって良かった


無理矢理ホッと感を出し、堤は神月に背中を向ける。


「ん。じゃあ気を付けて」


ひらりと手を振り、自分の部屋に戻ろうとした時。

背にかけられる言葉。


「分かった。堤くんが熱でおかしいことは」


ーー........ん?


その言葉に違和感を覚え、堤は振り返る。

そこで見えた神月の目はいつにも増して真剣で。

あの言葉の次の言葉。

どう考えてもおかしなものと分かっているのに

何故かごくりと唾を飲む堤。

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