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秘密の時間は私のもの

第25章 見せてもらった5





確実に悪化し、布団で寝込む堤の傍ら。

ツヤツヤの肌をし、確実に元気になった神月。


「♪」


鼻歌まで歌い、ご機嫌極まりない様子。

薬で熱で悔しさ、怒りで自分を失った堤から

今までとは比にならない罵声と仕打ちを

その身一身に受けたのだから、それもその筈。

最も、普通の人ならいろんな意味で立ち直れない程、それはひどかったのだが。

現に、張本人が猛省中である。


ーーあぁ....死にたい.....

さっきまでの記憶消して、死にたい

俺、本当、何やってんだ


堤の頭の中では、先程の自分自身がずっとリピート再生され続けている。

それらは全て、自分が思い描く仮にも好きな人への言動ではなかった。

されど、堤が好きな人は"普通"ではない。

それをされて、喜んでいるのだが

罪悪感にて潰され、神月に背を向けている堤が気付く筈もない。


「.....つーつーみーくんっ!」


いきなり堤の体にかかる重さ。

それは神月が飛び乗った重さで。


「ぐっふ....おま、びょうに...」

「今日、最高だった。元気になったらまたお願いね」


言ってる中身は最低そのもの。

しかし、言うその笑顔は天下一品で。

それに絆され


「っ......分かったよ....」


そう答えてしまう堤の恋は、まだまだ成就しそうにもないのだった。



続く

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