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秘密の時間は私のもの

第26章 忠告

しかし、残念なことに見た目でそれらを判断できる程人間は万能じゃない。


玄関で見ちゃって一目惚れ。


告白して付き合って。


それが風の噂で流れてきて、進学科×特進科のカップルが数組いたことは知っている。


だが、その噂は1,2週間もすれば"別れた"に変わるのだ。


その理論でいけば颯太とあいつも上手くいくわけがないのだが


悔しいことにあいつからは


差別しているだとか、見下しているだとか


線を引いてるだとか、一切感じたことがないのだ。


思い浮かぶあいつは、いつ何時も対等に接してくれていて。


本当に認めたくないし、あいつの株を上げるようで嫌だが


そういうところもまた、颯太が惹かれる所以なんだろう。


兎にも角にも、ジロジロ見られるのもあまり気分がいいものではない。


さっさと見付けて連行を、と思っているとぐいっと学ランを引かれる感触。


後ろを見ると見えたのは、1人の女子。


いかにも真面目ガリ勉ですの見格好。



「何か、お困りですか?」



立ち止まって動かない俺に何かを察したのか


親切に声をかけてくれた模様。


しかし、どんな女子であろうが


女嫌いの俺としては勘弁して欲しい状況。


とりあえず、学ランを持っている手を離して欲しい。


女嫌いを発症し、お前からは見えないだろうが


鳥肌が半端ないことになっている。

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