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秘密の時間は私のもの

第27章 有言実行

それはもう甘美で妖艶な光景なんだろう。



「うっ....見な、で...ひっく.....うえ、の...」

「さっきから、いやいや言ってるけど
ちゃんと感じてるじゃねーか。颯太」

「な、で....つぐ、る...」



俺を見上げる颯太の顔。


はっきりと悲しみが映っていて。


ズキンと激しい痛みが俺の胸を襲う。



それでも、俺は...

お前のために......



.....なんて、本当の俺は



「!?うえ、上野?!」



颯太のそんな驚いた声にハッとすれば、目の前には拳が迫っていて。



あ....やばい



思った時には時既に遅し。


ガッと鈍い音がし、頬には痛みが残った。



「い...ってぇ......」



こんな重いパンチ、この場にいる奴で出せるのは1人しかいなくて。


そいつは、自分の学ランを颯太に掛け、颯太を軽々と


恥ずかしげもなくお姫様抱っこしやがった。


さながらヒーローそのもの。



「......」



俺には何も言わず、刺さったのは鋭い睨みで。


伝わるは、怒り以外の何者でもない。



「うえ、の....」



そんな颯太の困惑の声を残し、上野はそのまま階段を降りていった。

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