テキストサイズ

秘密の時間は私のもの

第29章 相談

.....本当に考えなかったが、妙にムカつくので


今度、上野に会ったら肩パンを決めてやろうと思う。



それにしても.....



まさに両想いが分かった現状だろうに


そう告げた颯太の下がる顔はどこか浮かない。


その様子を見て心が喜ぶのは


本当に付き合っている線は薄そうだからだろう。



近いうちに嫌でもそうなるっつーのに

単純っつーか、なんつーか



喜ぶだけ無駄なのに、と自分を冷静に往なすが


それでも今はと喜ぶ自分。



本当不毛だ



あまりの不毛さに溜息を漏らす。


その間に入る小さな声。



「........................う」

「え?」



それはもちろん俺の声ではなく颯太の声なのだが


あまりに小さく聞こえず、聞き返す。


すると、颯太は下がっていた顔を上げ


俺を真っ直ぐ見据えた。


その瞳、確実になにか迷っていて。



「....多分、上野、そのこと知らないと思う」



“そのこと”とは恐く、上野の告白を颯太が知ってるという事実。


俺は現場にいなかったので知らないが


そんな状況になる告白の仕方とは、一体どんなんなのだろう....

ストーリーメニュー

TOPTOPへ