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秘密の時間は私のもの

第30章 借し

それを見計らい、俺は最後の秘策と口を開く。



「お前、学習しろよ」

「?」

「あのな」





「授業中に人連れ出すなっつーの」





ビシーッと指差し、決めポーズ。


上野ポカーンと惚け面。



ん?なんだこの表情.....

まさか授業中って知らずにこいつ、教室出てきたの?

はー.....天下の特進様がなんてしった



「何言ってんだ?お前」



知らずに出てきて恥ずかしいからって、知らばっくれですかぁ?



茶かそうと思ったのだが、上野の纏う雰囲気が妙だ。


本当に俺が何を言っているのか分からない、っといった感じで。



???



それに釣られるように俺も頭の中が?だらけになる。


そこで、上野がなにかに気付いたように本日2度目の溜息。


それにさっきより遥かに長い。



「......お前、噂には聞いてたが、どんだけ抜けてんだよ.....」





「今、もう放課後だぞ」





...........What?




「だーかーら、今日の授業は全過程終了してるっつってんだよ
それに気付かないって.....1日、ボーッとして過ごしてるって噂、マジだったんだな....」



諭すようなその言葉に



「.....?!おい!ちょ!危な!」



俺が、上野の記憶から先程の俺を消し去ろうとしたことなど、言うまでもない。

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