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秘密の時間は私のもの

第31章 デート①

簡単な、単純な方法を捨て、卑怯な手を使ってまで


確固として颯太とのデートを離さなかった俺が、だ。



だって、1ヶ月だぞ

1ヶ月、颯太は自分の意思で俺の前に現れなかったんだ



俺にチケットを渡し、颯太とデートをしろ、なんて言って


時間と場所まで俺に伝えた上野。


そこまでされて、颯太がここに来ない可能性を考えてる訳では無い。



.....多少は、考えてるけど...



俺の不安要素は、そこじゃなくて。


1ヶ月、颯太は何を思って過ごしていたんだろう、とか


颯太は、1ヶ月振りの俺をどう見るだろう、とか


俺を嫌ったから1ヶ月も現れなかったとして


本当は来たくないんじゃないだろうか、とか


兎にも角にも“1ヶ月ぶりの颯太との再会”。


俺にとって、これほど重いものはない。


あぁ、本当に女々しくて女々しくて嫌になる。


それでも、今日、ここにしっかり立ってるのは


皮肉ながら、上野からの“逃げるなよ”の1文があったからで。


変な闘争心が燃えたのは言わずもがな。


あの1文で背中を思いっ切り叩かれた錯覚を得た。



悔しいが、あの1文無かったら、俺、ここにいねぇ自信あるわ


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