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秘密の時間は私のもの

第32章 1ヶ月の出来事①

どうしたのかと後ろを見ようとした時。


僕の目にはっきり写った、涙を拭った指の張本人。



「葉結ちゃん.....?」



僕の呼び掛けに、涙を拭った指を見ていた葉結ちゃんがの瞳が僕を捉えた。


一瞬の間。


それから、にこりと笑ったかと思えば、いつもの定位置へと戻り、腰を下ろした。



「??」

「いやいやいやいや」



あまりの謎光景、謎行動に上野がすかさず突っ込み体勢。


だけど、葉結ちゃんはそれを聞く気はないようで。



「何を驚いているんです。ここは私の特等席
そして、これは“契約”、でしょう?」



言われてみれば、ここは確かに屋上の踊り場だった。



「.....その“契約”っつーのしたのはあいつと立川だろ」

「.....片方居れば、成り立ちます
それに、私が今来なかったら、貴方止められなかったでしょ?」



ぴくりと反応する上野に、葉結ちゃんが鋭い視線を投げ掛ける。



止められないって?

僕を触ること?



「自覚は、してるみたいで安心しました」



その言葉に、上野は僕から指を抜き手も離した。


後ろを見やれば、どこか申し訳なさそうな上野。



僕を触り続けることを止められないことを自覚してて

上野が申し訳なさそうにしてる....?



葉結ちゃんの言葉を整理したものの、どこか腑に落ちない。

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