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秘密の時間は私のもの

第33章 デート②

決して、止めようとはプライドが許さず、言えはしないが。



「......意外だわー....颯太、こういうの、好きなんだー....」

「うん!大好き!1日中、乗ってられるよ!」



正に悪魔の言葉。


今日のスケジュールが暗に今、聞こえた気がして。


ぶるりと身震い。


そんな俺に颯太が気付いたようで、声を掛けてきた。



「.....もしかして、亞、こういうの、苦手....?」



不安そうな顔、不安そうな声音。


今にも、止めよっか、と提案しそうな雰囲気。


俺はとても嬉しいが、颯太の楽しみを奪う訳にはいかない。



「いや、まさか。すっげー好きだよ」

「でも、今、ぶるって身体震え」

「馬鹿だな。楽しみ過ぎて、だよ」

「......本当に?」

「本当」

「本当の、本当?」

「本当の本当」



にこりと笑えば、ようやく納得したようで颯太もほっと顔を綻ばせた。


そのタイミング。


列がぐっと縮まり、あっという間に俺らの番。


颯太には見えぬ様、十字架を切ったのは言うまでもない。


キリスト教でもないのに、と思った時には体はバーに固定されていて。


今1度、ちゃんとされているのか確認したかったのだが隣には颯太。


出来るわけもなく。



「いってらっしゃーい♪」



従業員のそんな掛け声で、それは動き出したのだった。

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