秘密の時間は私のもの
第33章 デート②
吐く、まではいかずとも確実に胸が悪くなった。
あんなものを作るなんて、同じ人間とは思えない。
それに乗って
「楽しかった!」
そう言ってる颯太もまた、同じ人間ではないのだろう。
気持ちが楽しいと体が軽いのだろう。
颯太はぴょんぴょん跳ねてみたり、くるくる回ってみたりとても楽しそう。
子供のような姿に俺も笑みが零れる。
まあ......
「あ!次あれ!」
指差す乗り物は可愛げなど1つも無いのだが。
え....何あれ.......
なんか人が超高速で上から下に落ちてってるんですけど
あぁ.....あれが噂のフリーフォールか...
人が乗り物に固定されたまま上に上げられ、そのまま落ちるなんて聞くから
どこの拷問だと耳を疑っていたのだが。
本当に、存在するんだなぁ.....
今から乗るという現実から逃避するため、そんなことを考える。
「亞!行こ!」
その声にハッとすれば、両手の温かさに気づく。
見れば、颯太が俺の両手を持ち、俺を引っ張っているではないか。
「早く早く!」
なんだ。この可愛い生き物。
俺は今から拷問される筈なのに、先には楽園が待っていると錯覚する程。